Short Story

魅惑なナースさん

 何と魅惑的な恰好だろうか。
 生徒に遊ばれたか、ワンピースタイプのナースウェアを着た麻野蒼真(あさのそうま)の姿に見惚れてしまう。
 清潔で真面目そうな彼が、まさかこんな姿をするなんて思わなかった。
 一週間後に開かれる文化祭に向けて、学校内は既にお祭りムードとなっていた。
「文化祭で着る衣装が余っていたんで、先生に着せちゃいました」
 と、蒼真の後ろに隠れていた女子生徒が顔をのぞかせて言う。
「え、あ、む、無理やり着せられてしまって」
 なんとも罪作りなスカートの丈の長さなのだろうか。そこからのぞく細くてきれいな足がたまらない。
 もじもじと恥ずかしそうにこちらを見る蒼真の事を舐めるように見れば、その視線に気が付いて恥ずかしそうにスカートを引っ張った。
「かわいいでしょ。男の先生達が触っていましたよ」
「あ、それはっ」
 それは聞き捨てならない事だ。
「ほぅ……」
 眼光が鋭くなるのはしょうがない。自分のモノを他人に触られて楽しいわけがない。
 すこし意地悪をしてやろうと香椎(かしい)は口元に笑みを浮かべる。
「麻野先生、折角だからその恰好で仕事を手伝ってくださいよ」
「え?」
 目を見開き香椎を見るが、驚きはすぐに戸惑いへとかわった。
「そういう事で、暫く麻野先生を借りるぞ」
「良いけど、着替え、どうする?」
「職員室の麻野先生の机に置いといてくれ。後で取りに行く」
「了解!」
 女子生徒が出ていき、香椎の口元は笑ったままだが目は冷めていた。
「似合っているぞ、蒼真」
 隙がありすぎる。
「てめぇは何、他の男共に触られているんだよ」
「え、あ、俺……」
 香椎の表情を見て怯える蒼真に、
「おい、蒼真、お前は誰のモノなんだよ」
 顎を掴んで顔を近づけ睨みつける。
「俺は、香椎さんの、モノです」
「解っているなら俺以外に触らせんな」
「すみません」
 落ち込む蒼真の顎を乱暴に掴み口づけすれば、はじめは驚いてかたい表情をしていたが次第にとろけだした。
 はじめて告白されたのは蒼真がまだ高校生の頃だった。その時は若気の至りだろうと断ったが、教師としてこの学校へと戻ってきてもその想いは消える事がなく、二度目の告白をされた。
 そして、その想いを受け入れ、香椎は蒼真と恋人同士となったわけだ。
 蒼真は自分のモノだ。誰にもやるつもりなどない。それは激しい独占欲であり、香椎なりに彼に対して持つ愛情でもあった。

◇…◆…◇

 二人きりの診察室。ナース姿の蒼真を香椎の膝の上に座らせる。
「さてと、診察の時間と行こうかね」
 と、スカートを捲りあげれば、その手を撫でるように蒼真の手が重なる。
「んぁ、香椎さん、待って」
「『さん』じゃねぇ。昔のように『先生』って呼べ」
 クスクスと笑いながら、蒼真が頬に唇を寄せる。
「はは、パンストまで履いているのかよ」
 スカートをめくり上げれば白色のストッキングから透けて見える下着がいつもよりもいやらしく感じてしまう。
「男子がナース服を着るんですけど、面白がってストッキングまで履かせられてしまって」
「はぁ? 何、足まで触らせてんだよ」
 ストッキングの上から手を滑らせて足を撫でていく。
「ん、嫌だって、言ったのですが」
「ま、いいや。いやらしいし。履かせた奴と触った奴は後で仕置きをするって事で」
 両腕をつかみ首に腕を回させ唇を啄み、下着の上から蒼真のペニスを根元から先端まで揉み始める。
「ふぅ、んっ」
 舌を絡ませあいながら善がり、蒼真の甘い息と声がまじりあう。
「あ、下着、濡れちゃう」
 硬くなり熱くなり、質量の増したモノはそろそろ限界を迎えるだろう。
「濡らせよ」
 と強く絞るように指を動かす。
「ん、ふっ」
 詰まるような声と共に腰が浮き、触れているモノが小刻みに震えて熱いモノをはきだす。
 唇を離せば、蒼真が大きく息を吐き、香椎へともたれかかる。
「は、お漏らしなんかして、はしたねぇなぁ」
 握っていたものを離し、目を細めてその箇所を見れば、潤んだ目をして香椎を見る。
「我慢できなかったから」
 足をつぼめてもじもじと身体を揺らす蒼真は、熱が抜けきれぬようだ。
 もの欲しそうな目が香椎の機嫌を良くさせる。
「そうか、よく見せて貰おうかな」
 と言った後、抱き上げて診療台の上へと座らせた。
 ボタンを中途半端に外して胸だけを晒す格好にさせる。
 捲し上げたスカートからは濡れた下着とストッキングが見え、放ったばかりだというのに既に半たちしている。
「元気だなぁ。ここは後で診察な。今は心臓の音を聞かせて貰う」
 香椎は首からぶら下げていた聴診器のイヤーチップを耳に差し入れ、チェストピースを掴む。
 上昇した熱が肌を染めていて、まだ弄ってもいないのに突起した乳首に押し当てる。
「あ、んっ」
 ひやりとした感触に、蒼真が小さく声をあげて身をよじらせる。
「すげぇ音だな」
 ドクンドクンと勢いがすごい音がする。チェストピースを小刻みに揺らしながら、もう片方を口に含んで吸い上げた。
「あ、あぁん、かしい、せんせぇ」
 ちらっと蒼真に視線を向ければ、香椎の動きを見つめていて。見せつけるように舌を動かしてやる。
「やぁん」
 胸を張り、もっと快感を味わいたいとばかりに蒼真手が自分の下半身へとのびる。
 それを横目で見てやると否や、香椎はその手を窘めるように胸の柔らかい所に歯を立てた。
「あぁぁぁ!!」
 相当痛いだろうそれを、耐えるようにシーツを掴む。
 目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「触るんじゃねぇよ。後で診察するって言っただろ?」
 ぺろりと熱を持ったそこを舐めて、もう片方を弄っていたチェストピースを離した。
「ごめんなさい」
 と、噛んだ箇所を摩る蒼真の指が、真っ赤に熟れた乳首を弾いてなんとも悩ましい。
 その指ごと食らいつきたい。
 イヤーチップを耳から外し、聴診器を横にある荷物置きへと置く。
 そんな蒼真を眺めながら、香椎は服を脱ぎ捨てる。
 何も身につけぬ香椎の姿を見つめる蒼真の視線が色気をまし、やっと互いの肌を合わせられるという喜びに満ち溢れていた。
 蒼真が自分の胸に触れていたその手を香椎は掴むと、そのまま揉むように動かす。
 自分の手から生み出される快感に胸を張りながら、
「や、自慰をしているみたいじゃないですか。香椎先生の手で弄ってください」
 そう、蒼真が言うけれど、
「嫌だね。ほら摘まめよ」
 乳首を摘まむように動かす。
「ん、やぁ、かしいせんせいの手が良い」
 蒼真の体を起こし、ナース服を脱がせる。
 下着とストッキングだけの恰好となった蒼真を舐めるように視線を向ければ、羞恥からか顔が真っ赤だ。
 その耳に息を吹きかけ、
「ほら、太ももをあげろ」
 とそう囁けば、蒼真の足が持ち上がる。
 股間の前にしゃがみ込んでゆっくりとストッキングと下着を脱がせるとペニスが元気よく立ち上がり、それに触れるかのように唇をよせるが避けて太ももに口づけを落とすと、一瞬期待に満ちた目をしていたがすぐに悲しそうなものとなる。
「そんな」
「このまま胸を弄ってイけ」
「や、むり、それだけでは足りません」
「はぁ、しょうがねぇな。じゃぁ、こことここ以外は触ってやる」
 乳首とペニスを指さし、舌を這わせながら背のラインをなぞる。
「んひゃ」
「胸意外は触るなよ」
「んっ、ん……ッ」
 耐え切れないとばかりに体を善がらせ、誘惑的に蒼真のモノも揺れる。
 背中を舌で弄りながら手で立ち上がるモノの周辺を撫でていれば、その焦れる感触に蒼真が首を振りながら目で香椎に立ち上がるモノに触れて欲しいと訴えかけ。
「ん、んん、ヤダっ、ここも触ってください」
 と、今度は蒼真に手を重ね、そこへと導かれた。
 香椎の手でして欲しいと強請る蒼真が可愛くてたまらない。
「お前ねぇ」
「むりって言いました!」
 従順な蒼真が強きに出るとは珍しい事だ。香椎はたまらず笑い声をあげる。
「しょうがねぇなぁ。びちょびちょに濡れたお前のコレを、可愛がってやるか」
 ペニスを扱きながら陰嚢の皺を伸ばすようにして舐め、睾丸を手の中で転がし、散々弄った後に口に含んで吸い上げる。
「ひゃぁぁん」
 蒼真の太ももが震え、口内に暖かいものが放たれる。
 それをちゅうと吸い上げて口から解放すれば、足を開いたまま惚ける蒼真がうっとりと香椎の口元を見た。
 口の端から垂れるのは唾液か、蒼真の出した蜜なのか。
 飲みほぐした後にそれを手の甲で拭えば、じっとその様子を見つめる蒼真の視線を感じて微笑む。
「今度は、お前の後ろの口で俺のを飲め」
 香椎の言葉に蒼真の手が香椎の興奮した雄の部分を撫でた。
「はい」
 唾液をたらしながら蒼真の後孔を丁寧に舐めていく。
 ぬるぬるとした感触に身をよじらせながら頬を染めて香椎を見つめる。
 指じゃ足りないとばかりに、蒼真の視線が香椎を誘う。
「淫乱のお前が、これだけじゃ足りねぇのは解っているよ」
 香椎のモノを窪みに押し当てれば、喜びからかぷるんと腰が揺れた。
「ほんとうに、蒼真はいやらしいな」
 と囁けば、蒼真が恥ずかしそうに頬を染めて目を伏せた。その癖、欲しがる、そんな可愛い恋人の反応に香椎の気持ちの高鳴りは絶頂にたどりつく。
 深く中へと挿し込み、それを激しく動かし始める。
「ひゃぁ、あっ、あぁぁッ!」
 押し寄せる快感に耐え切れぬ様子で蒼真の唇が離れて胸に顔を埋めようとするけれど、香椎はそれを遮るように再び唇をあわせ、蒼真の口内を貪る。
 ひくっと喉の奥を鳴らして深く息を吐く。
 上から下から水音を立て、互いに高みにのぼり欲を放つ。
「ん、ん……」
 中から抜き取りちゅっと音をたてて唇を離す。
 だるい体をおこし診療台から降りれば、蒼真と視線が合う。
「暫く休んどけ」
 と、蒼真の髪を撫で言えば、
「はい」
 ふにゃと表情を緩めて笑い、うとうととし始めたと思えば、すぐに眠りへと落ちてしまう。
 可愛い奴めと、香椎は蒼真の目元にかるく口づけた。